2008.9.6
陽気なギャングが地球を回す
伊坂幸太郎 祥伝社文庫 (2006/02)
(ノン・ノベル) 祥伝社 (2003/02)
おもしろかった!
嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女、
この4人は、やたらおしゃべり、かつ銀行強盗(「ロマンはどこだ」と呟いて)。
軽さ、スピードがいい。
新書刊行時あとがきもスゴクいい。この本についてピタリと語っているので、あえて引用しない。
映画化されているらしい。
2006年5月13日公開
キャスト:大沢たかお・鈴木京香・佐藤浩市・松田翔太
続編 陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル) 祥伝社 (2006/05)
《絵本》
ジャイアント・ジャム・サンド
ジョン・ヴァーノン・ロードぶん/え 安西 徹雄やく
アリス館 1993年12月24日発行
画像が出ませんので、こちらへ↓どうぞ。
大きな大きな食パンを焼くところ、スライスするところ、運ぶところ、バターやジャムを塗るところ、もう一枚のパンをヘリで吊り上げるところ…絵が楽しい。
このジャム・サンド、ほんとにおいしそうで、蜂じゃなくても食べたくなるし、バスやら馬車やらヘリコプターやら、いろんな乗り物が出てくるし、子どもが喜びそうな絵本です。
はろるどとむらさきのくれよん
クロケット・ジョンソン作 岸田衿子訳
文化出版局 ミセスこどもの本 1972年発行
はろるどは、むらさきのくれよんをもっている。
〝あるばん、はろるどは ふっと
つきよの さんぽが したくなった。
おや、つきが でて いない。…〟
つきをかいて、みちをかいて…
つぎつぎに くれよんでかいて さんぽをつづける、
そのはっそうの たのしいことったら!
岸田衿子さんの訳がとてもいい。
ハンダのびっくりプレゼント
光村教育図書 2006年4月25日発行
ケニアの子どもたちをモデルにしている。
ハンダは、ともだちのアケヨをびっくりさせてあげようと、おいしそうなくだものをかごにいれ、あたまにのせて、あるいていきました。ところが、いたずらなどうぶつたちがつぎつぎやってきて、こっそりたべてしまいます…。
ぞうって、こまっちゃう
クリス・リデル作・絵 たなかかおるこ訳
徳間書店 1999年1月31日発行
ぞうって、こまっちゃう!
〝いっしょに おふろに はいると、
おゆが じゃばじゃば あふれるでしょ。〟
あれや これや… ほんとに、こまっちゃう。
でも、いちばん こまるのは?
ぞうのひょうじょうが、ちょっとあまったれふうで、むじゃきで、かわいいです。
それにしても、〝象はねずみを怖がる〟って話はどこから来ているのでしょう?
夜へ行こう
たくさんのふしぎ 2008年5月号(第278号)
中野 純 文 中里 和人 写真 福音館
画像が出ませんでしたので、福音館書店のサイトへどうぞ。
月刊誌のご案内/たくさんのふしぎ/バックナンバー
先日、みなとみらいで夜景を撮ったせいか、図書館でこの本に目にとまった。
はて、夜景とはなんぞや?
この本では、〝夜〟=〝闇〟である。
〝夜の森は、暗くてこわくてたまらない。…
はじめは真っ暗闇だと思った目の前に、…
黒々とした木々の輪郭が見えてくる。
昼の目から夜の目に切りかわったのだ
昼の色が消えて、形がくっきりあらわれる。
夜の風景が立ち上がる。
だれもが夜の目をもっている。
なのに、昼のように明るい電灯の下にばかりいるから、
夜の目を使うことを忘れて、
一日じゅう、昼の目ばかり使っている。〟
〝もらい灯(び)〟という初めて聞く言葉にも惹かれた。
付録の「ふしぎ新聞」に中野さんが書いているカラスウリの花、
8~9月の夜、人知れず、ひっそりと咲くそうな。
レースのようにやわらかく白い花で、
もしかしたら、花の精が羽化しているのかもしれない、と。
中野 純という人は、〝闇歩きガイド〟だとか… ん!?
こないだ書店で見つけて即買った本、
(講談社+α文庫 2008年7月20日発行 『月で 遊ぶ』の文庫版)
― やっぱり! 中野 純でした。
『月で遊ぶ』アスペクト (2004/09)はすごくおもしろかった。
闇の美しさ、怖さ、不思議さ…というが、
私は怖いばかりなので、本当の〝夜〟は撮れそうもない。
でも、真夜中にふと、空がよく晴れていると、星座を見つけに外へ出る。
〝月〟には、なぜか心騒ぐ。
月の記憶
森 光伸 光村推古書院 2001年10月25日発行
中也、朔太郎、晶子などの詩に寄せた写真集。
この本、好きなんです。
それから、それから…
グルベローバの〝ルチア〟、舞台にかかる巨大な満月、
幕間の文化会館の外のテラスの上にも満月が…。
とりとめなくなってきたので、この辺にしましょう。
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2008.8.27
今週のおもしろ本!!
人くい鬼モーリス
松尾由美 理論社
題名から〝ある絵本〟を連想しちゃった人は、ぜひ読みましょう。
冥王星パーティ
平山瑞穂 新潮社
『忘れないと誓ったぼくがいた』がよかったので、ほかも読んでみたくなりました。
『ラス・マンチャス通信』は苦手です。読んじゃったけど…
赤毛のアンへの旅 秘められた愛と謎
松本侑子 NHK出版
美しい写真、レイアウト、読みやすい構成。
謎解きの形で、『アン』の魅力を深めてくれます。
さゆり 上 Memoirs of a Geisha
by Arthur Golden 小川高義訳
〝上〟を読み終えたところ…
なにげに読み始めたら止まらない。
せりふは〝京ことば〟。
翻訳とは、とても思えない。
2008.8.9
今週読んで、おもしろかった本で、
紹介しきれない分を、まとめて4冊。
○翻訳文学ブックカフェ
新元良一 本の雑誌社
どうやら入手困難なよう、
翻訳文学ブックカフェⅡの表紙を載せる。
○ブログ進化論 なぜ人は日記を晒すのか
岡部敬史 講談社+α新書
○気になる部分
岸本佐知子 白水Uブックス
○いつもカメラが
内田ユキオ えい(木へんに世)出版社
『ブックカフェ』で、土屋政雄さん:おそらく私は日本で初めてワープロを使いはじめた翻訳家じゃないか…あまりに字が醜くて、自分の書いた原稿が嫌になるんですね。…ワープロが出たときは「これだ!」と思って、プリンタ込みで三百万円でしたけど、飛びつきました。
『いつもカメラが』で、内田ユキオさん:ワープロを買ったのはわりに早い時期で…理由はただひとつ、自分の書く字が嫌いだったからだ。書いた本人さえ読めないときがある。
わたしもそうでした。5、6万円でしたけど…
『ブックカフェ』は、好きなところを開いては、ちょこちょこ読んで楽しんでいる。
『ブログ進化論』
どうやって発信するかといった技術的なことでなく、何が発信されているか、書かれている内容について語られている。おもしろくて一気に読んだ。
例えば、『食べたものを淡々と記録するよ』というブログ。
―'04.10.23、更新がパタッと止まる。すると、『大丈夫でしょうか』と書き込みがされた。5日後、夕食としてアップされた写真には、暗闇の中ストロボで撮影された菓子パンと袋のままのウィンナーだけが映し出されていた。
ある意味、テレビや新聞よりもリアルに被災者の生活ぶりを伝えていたと思う。―
ちょっと古いのだが、『路上観察学入門』(赤瀬川 原平、南 伸坊、 藤森 照信)を思い出した。超芸術トマソンで有名な本だ。
はっきりは覚えていないが、
ある日、新聞の尋ね人欄に「○○(名前)至急連絡されたし」と初出。言葉は少しずつ変化し、「もう心配ない、帰れ」とか「父危篤」とか、必死に実家に戻るよう訴えかけるが、何の手ごたえもない様子。かなりのあいだ続き、あるとき「父死す」でぷつりと掲載が止む。
こんな内容だった。確かこの本だったと思うが…。
尋ね人欄を時系列に並べただけだったが、ひどく迫力があった。
『いつもカメラが』
内田さんは2回見かけたことがある。あるパーティで「こういうとき、後ろのほうに恥ずかしそうに座っている人が好きです」というようなことを言っていた。お人柄どおりの文章。読んでいて、映画好きだと思ったら、やはりそのようなことが書いてあった。
名言多数、共感。
一枚の写真は、「記憶に差した栞」。
「桜をきれいに撮るのは簡単ではない。ましてや、桜を見ていて胸にこみ上げる思いなど、なかなか写せるものではない。でもそこに自分がいたという証なら、きっと残せるはずだ。」
極めつけは、P34にあります。
本の中に、内田さんも写っている。後姿、カメラを構えて、(実物同様)長く伸びた影として…。
かつて、『ブックカフェⅡ』を立ち読みしていて、岸本佐知子という翻訳家が気になり、
『ねにもつタイプ』を借りて読んだ。やっぱりヘンな人だ。
この『気になる部分』の方が、おもしろく、読みやすい、というか、何度も一人爆笑した。
筆頭は"国際きのこ会館"、本当にあるのかな?
寝床での"ひとり尻取り"、シュワルツェネッガー問題、バグ、ポジティブ・シンキングがなんだetc.
とんでもない想像力である。しかし、これアタシのこと?的箇所も散見され、私だけが特別じゃなかったんだと安心しかけ、まてよ、と思う。
翻訳家の生活と意見の章もおもしろい。例えば、
自分が外国人の翻訳家で、漫画『男おいどん』に出てくるキノコの名前に遭遇したら、どうするであろうかの考察。
大きさと内容からすると、夏休み、汽車のお伴によいのは『気になる部分』か。
2008.8.8
言葉の虫めがね
俵 万智 角川書店
*文庫版は現在入手できません。
言葉をつむぐこと、写真を撮ること、
なにか共通性を感じながら読みました。
例えば、次のようなところ、
・斉藤茂吉の一首について
―散歩の途中のスナップ写真、という感じだ。が、こんなにわかりやすくて、こんなに余韻があるというところが、この歌のすごいところ。何気ないようでいて、むだな言葉が一つもない
・「あとがき」
―たとえば『万葉集』…千年の時空を越えて、鮮度を落とすことなく言葉は蘇る。
けれどたとえば、今日私が恋人に言った「好き」という言葉…今日の、この状況で、この二人のあいだで成立している「好き」は、たった一度きりのもの。
また、
〝短歌を訳す〟 『サラダ記念日』の英訳、『伊勢物語』、『みだれ髪』の現代語訳など、とても興味深く、
〝斎藤 史―かなしみは遠景に〟の解説は心に沁みます。
もっと読みたい!
『英語対訳版 サラダ記念日』
『恋する伊勢物語』
『みだれ髪―チョコレート語訳』
2008.8.6
あと10ぷんでねるじかん
さく:ペギー ラスマン やく:ひがし はるみ
徳間書店
あと10ぷんでねるじかんなのに、ハムスターたちが大挙して「ねるまでの10ぷんりょこう」にやってきちゃうのだ。
しかも、カウントダウンが迫るにつれ、旅は大いに盛り上がっていく…。
一番乗りのハムスター一家、おとうさんの趣味は写真のようだ。
いろんなものにカメラを向けている。今ならフォトログでもやるかも。
さて、どんな写真が撮れたかな?
絵本の"見返し"がアルバムになってます。
「ハムスターいっか ねるまでの10ぷんりょこうのおもいで」。
ところで、このアルバムが、写真の四隅を三角のコーナーで張るタイプ。
これってノスタルジック…。
はて、三角のコーナーのこと何て言うの?
検索しました。
ご同輩はいるもので、MSN相談箱にありました。教えて!gooも同じ。
質問は、
昔のアルバムに写真を張るとき、四隅を三角のシールに入れて張るというものがありましたが、その商品名が分かる方がおられましたら教えてください。
やっぱり、「昔の」って言ってる。
回答多数。
マウントコーナー、コーナーマウント、フォトコーナーシール、写真用三角コーナー、アートコーナーなど。
なんと、こんな情報まで。
偶然ですが、さっきダイソーで買ってきました。
ザ・写真 写真貼り付け用シール 四角用 144片 です。白のみですが・・・。
郷愁なんて…一瞬でした。
ローザ 著者:ニッキ・ジョヴァンニ 販売元:光村教育図書
2007年5月30日発行
1955年のローザ・バークス逮捕事件を描いた絵本。
当時のアメリカは人種分離法が施行されていて、
バスは、前が白人席、後ろが黒人席と分けられていた。
ローザはどちらがすわってもいいはずの中間の席にすわり、
運転手に白人に席を譲るよう命令されたのを拒み、逮捕された。
この事件は、モンゴメリー・バス・ボイコットの契機となり、
やがてはキング牧師のワシントン大行進、公民権法成立へとつながっていった。
それゆえ、ローザは"公民権運動の母"と呼ばれる。
2005年、92歳で死去。
言葉に力があり、まっすぐに伝わってくる。
絵もすばらしい。力強い文と力強い絵。
――ローザは、とても誠実で、しずかな人でした。
でも心のなかには強さをひめていました。
この絵本もまた…
2008.7.13
第15回東京国際ブックフェアに行ってきました。
ビッグサイトもブックフェアも初めてです。
つい撮影モードに入ってしまいます。
コンパクトカメラでちょっとだけ。
駅を出てすぐ、広い空です。
じりじり太陽が照りつける暑い日、葉っぱの影。
ワシントンホテル上空。
展示場上空。
《ブックフェア》
まず、児童書コーナー。
講談社では、おはなし隊の読み聞かせ。
フレーベル館では、アンパンマンと握手。
その他、各社、サイン会など盛りだくさん。
各国の絵本展示。イタリアがよかった。
デジタルパブリッシングの出店多数。
出版社コーナーには、筑摩書房からNHK出版まで。
書店の棚を出版社別にしたような感じ、本の点数は少ない。
割引で買えるので、欲しい本があればお得。
洋書バーゲンもあり、閉店間際はさらに引く。
うろうろしているだけで時間が過ぎ、
結局、1冊のみ購入。これです。
東京待ち合わせ案内 販売元:プチグラパブリッシング
フォトサロン(東京駅にある)のついでに、八重洲ブックセンターに寄る。
絵本購入。
ぼくはまほうつかい
著者:マーガレット コートニー=クラーク、マヤ アンジェロウ
販売元:アートン
帰り際に見上げた高層ビルがすごいので、引き返して撮影。
カメラを思い切り上に向けたら、空の交差点が撮れた。
ビルの名称は、
パシフィックセンチュリープレイス丸の内と
グラントウキョウサウスタワー(水晶の塔だとか)。
少し移動、さらにひっくり返るようにして手前を大きく入れて撮る。
信号を渡る。対角線にあるモニュメントとパシフィック。
サウスタワーを下から。
駅側から。
インディージョーンズ~最後の聖戦で、
空中にあらわれた透明な橋みたいだと思いません?
2008.7.5
アニマルアイズ・動物の目で環境を見る<3>明るい夜
著者:宮崎 学 販売元:偕成社
7月1日の天声人語。
コンビニの普及と生活の深夜化、
タマゴとニワトリ、どっちが先?
人間に関しては白黒つけにくいだろうが、
動物に関しては明らかではないか。
夜の電話ボックスのガラスにはりついているカエル。
光にさそわれて飛んでくる虫を一晩じゅう食べ続け、
お腹がぱんぱんにふくらんでいる。
明るい商店街のツバメ。
夜がふけても眠らないヒナのために虫をとる。
"昼も夜もなくはたらいてつかれたツバメたちが、
人家の玄関先で、つかのまいねむりする"
2002年1刷。初めて見たときは、
生き物の適応力のすごさに感心した。
改めて見直すと、
生存の道は開けても、無理してるなと。
自然からの環境メッセージの本です。
死神の精度 著者:井坂幸太郎 販売元:文藝春秋
仕事はいつも雨の中、BGMは雨音。
"どうせ俺は雨男さ"ムードを漂わせた死神の短編集。
死神の仕事は、
"死ぬ"候補に選ばれた人間を7日間調査し、
"可"か"見送り"かを上層部に報告する。
"可"の場合、8日目にその人間は死ぬ。
死神は真面目だ。
初めての時代、初めての環境で働く。
上層部からは僅かな情報しか与えられない。
"派遣のお仕事"。
死神は、人間界に疎い。
"ターミネーター2"で、シュワルツェネッガーが、
涙を流す少年に、「目をどうかしたのか?」と聞く、
それに似た会話がおもしろい。
微妙にズレつつ、それなりにハマっているようでもある。
各話、趣向が変わるが、
情報ほぼゼロの人間の素顔が、
少しずつあぶりだされる過程そのものもミステリ。
短編の順番は時系列。
無関係に見えて、絡み合う。
気づいたときの快感、
"シックスセンス"のラストなみ。
読み終えたら、表紙を見直すべし。
記6月29日
どうぶつえんであそぼ こあら
著者:ふくだとよふみ、まつもとよしこ、なかのひろみ
販売元:福音館書店
モノクロームです。
前見返しの遊び*に、こう書いてあります。
"こあらの いろが なくなって はじめて きづく ことも あるんです"
白黒の魅力、レンブラントプリントというのがあるそうな。
やっぱり眠ってるところが多いです。
but! 機敏に走ってる写真もあります。
後ろ見返しの見開き*は、コアラのトリビア集。
コアラについては、
"オーストラリアコアラ基金"のサイトに詳しい。
コアラの一日の睡眠時間は約18~20時間、とか。
シンプルながら、そんな特徴をちゃんととらえた写真集です。
*ググってみました。
MSN相談箱「本の見返し」
【見返し(みかえし)】
「狭義には、表表紙(おもてびょうし)の裏側をいいます。
一般的には表表紙・裏表紙の内側に貼り付けて、
本の中身と表紙をつなぎ合わせている「見返し紙」のことです。
表紙と本の中身を張りつける「力紙」(ちからがみ)と、
「遊び紙(遊び)」があります。
(見返し紙の)2頁目と3頁目を一度に呼ぶなら「見返しの見開き」
――感動的に見事な回答です。